映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』から学ぶ、優しさと居場所の物語
先日、第4弾の映画の公開が今年の秋ごろと発表があり、よこみぞゆりさんからのお祝いのイラスト共にナレーションのお二人の情報が解禁になりました
今後の情報解禁がとても楽しみでもあるすみっこです!
📽️ 映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』の魅力とは?
2019年11月8日に公開された映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は、かわいいキャラクターたちが織りなす、心にしみる優しい物語。ここでは、映画を支えた制作陣や、物語の構成、すみっコたちの変化、そして主題歌やアニメ展開まで、詳しくご紹介します。
🎬 監督:まんきゅうさん
神奈川県川崎市出身のアニメーション監督・脚本家です。 ショートアニメやギャグアニメを多く手がけており、代表作には『伝染るんです。』や『ガンダムさん』、『ぷちます!』などがあります。 独特のユーモアとテンポ感で、短編作品ながら強い印象を残す作品を数多く生み出してきました。
この作品は、あえてセリフを使わず、目線やしぐさで感情を表現する“静かな演出”、「静かさ」や「間」を活かした感情の演出に注目頂きたいところです。すみっコたちはセリフを話さないキャラクターたち。その代わりに、目の動きやしぐさ、ちょっとした空気感で感情が描かれていきます。キャラクターの内面を丁寧に描き、「居場所を探す」すみっコたちにそっと寄り添うような世界観をつくり上げられています。
にぎやかではない。でも、じんわりと心にしみる。
この作品は、まんきゅう監督の“優しさ”と“観察眼”があってこそ生まれた、小さな名作だと思います。
📝 脚本:角田貴志さん(ヨーロッパ企画)
角田さんは、劇団「ヨーロッパ企画」に所属する脚本家・俳優で、テレビやラジオ番組の脚本や構成も手がけています。また、イラストやアートワークも得意とし、書籍の表紙絵やDVDのジャケットイラストなども手掛けるマルチな表現者です。
すみっコたちはまさに、社会の“すみっこ”に生きるキャラクターたち。
だけどその視点を、「ネガティブ」ではなく「肯定的」に描いているのが角田さんの脚本の魅力です。
● 自分が何者かわからない
● 誰にも知られたくない秘密を抱えている
● 孤独と向き合いながら誰かとつながる
そんな感情を、すみっコたちの行動やセリフに自然に込めています。
角田さんの脚本は、子どもにも伝わるシンプルな構成の中に、「他者とどう向き合うか」「本当の自分とは?」という大人が共感できる哲学を自然に織り込んでいます。
さらに、キャラクター同士のやりとりも愛にあふれていて、「誰も否定しない」「誰かを笑わない」そのスタンスが、物語全体を優しいトーンで包んでいます。一見シンプルに見えて、実はとても深くて、普遍的な物語。
角田さんの脚本は、“すみっこで生きる”ことにそっと光を当ててくれています。
まんきゅう監督の“余白を活かす演出力”と、角田貴志さんの“静かなユーモアと自己受容の物語”。
このおふたりがタッグを組んだからこそ、『とびだす絵本とひみつのコ』は、“かわいいだけじゃない”、観た人の心をそっと抱きしめてくれる映画になったんだと思います。
🎤 ナレーション:井ノ原快彦さん & 本上まなみさん
セリフがないすみっコたちの世界に、彼らは言葉ではなく、しぐさや表情、目の動きで感情を伝えていきます。そんな中で、物語の世界観を補い、観る人の心を導いてくれるのが、ナレーションを務める井ノ原快彦さんと本上まなみさんです。
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井ノ原さん:優しくて安心感のある「お兄さんのような声」
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本上さん:包み込むような「お母さんのような声」
このお二人の語りには、すみっコたちの気持ちに寄り添う温度があります。キャラを説明するのではなく、「そっと見守る」。どこまでも静かで、押しつけがましくなくて、だけど確かに、すみっコたちの小さな想いを代弁してくれるんです。
この映画が、大人にも深く刺さる理由のひとつは、このナレーションの“寄り添い力”にあると私は思っています。
🎵 主題歌:原田知世さん「冬のこもりうた」
冬の静かな夜に寄り添うような、やさしくてあたたかい一曲。
🎵「白い窓に ふるえるこもりうた」 🎵「あなたの夢に よりそうように」
この曲が流れるラストシーンは、観る人の心に静かな余韻を残します。まるで“ぬくもりを手渡すようなエンディング”です。
原田知世さんの声には、「あたたかさ」と「静けさ」が共存しています。
それは、すみっコたちの世界そのものなんです。この映画には、大きな声や派手なアクションはありません。でも、その代わりにあるのは、
「そばにいてくれる人のぬくもり」
「自分のままでいていいという安心」
「名前がなくても、誰かと心を通わせられる喜び」
そういった“静かな感情”が、歌の中にそのまま流れているように感じます。
この映画の主題歌に「冬のこもりうた」が選ばれたことは、奇跡のようなマッチングだったと感じています。
井ノ原快彦さんと本上まなみさんの語りが支える“声なき物語”。
そして原田知世さんの「冬のこもりうた」が添える“そっと灯るエンディング”。
この映画は、声や音楽がセリフの代わりに“感情”を運び、 観る人の心にそっと寄り添ってくれる作品です。
アニメーション制作:ファンワークス
『やわらか戦車』『がんばれ!ルルロロ』『ざんねんないきもの事典』などで知られるスタジオ。日常にそっと寄り添うようなアニメーションが持ち味で、本作でもすみっコたちの静かな感情を丁寧に描いています。
映画、広告、日本地域の観光系アニメなど多数のアニメ制作&プロデュースに関わっておられるそうです。
日本すみっコぐらし協会
ちょいちょい出てくる「日本すみっコぐらし協会」2017年、すみっコぐらしのプロモーションを目的にサンエックス株式会社を中心にゆるーく設立された協会だそうです。
ストーリー概要


簡単にストーリーをまとめると
ある日すみっコたちは、「喫茶すみっコ」の地下室で古くなった1冊のとびだす絵本を見つける。絵本を眺めていると突然しかけが動き出し、すみっコたちは絵本に吸い込まれてしまう。絵本の世界で出会ったのは、仲間を探すひとりぼっちのひよこ?だった。ちょっぴりネガティブで個性的な「すみっコ」たちが、新たな仲間のために奮闘する
そんな映画です。
絵本の中の5つの物語とすみっコたちの変化
① しろくま × マッチ売りの少女


最初に登場するのは、しろくまが迷い込んだ「マッチ売りの少女」の世界。
雪が降り積もる町の片隅で、小さなマッチを売るしろくま。しろくまはもともと寒がりで、南から逃げてきたほど。知らない場所が苦手で、人見知り。でも、そんな彼が、凍える町角で、ひとりマッチを売っているんです。
…誰も買ってくれない。寒くて寂しい。
でも、マッチに火をつけるたびに、そこには温かい光景が浮かびます。それは、仲間たちと過ごす、いつもの日常。その光に手を伸ばしながら、しろくまは心の奥にある「帰りたい」「もう一度会いたい」という気持ちを再確認していきます。最後に仲間と再会したとき、しろくまはほっとした表情で涙を流します。
それは、ただ寒かったからじゃない。ひとりでがんばっていた心が、ようやく抱きしめられた瞬間でした。
② ぺんぎん? × アラビアンナイト


次に登場するのは、ぺんぎん?が飛び込んだ「アラビアンナイト」の世界。
空飛ぶじゅうたん、宝物が眠る洞窟、どこまでも広がる砂漠。ぺんぎん?は、そこでひとりの存在と出会います――それが、「ひよこ?」です。
ひよこ?は、自分が誰なのか、どこから来たのかをまったく覚えていません。
自分に似ている?どこか自分と同じ“あやふやさ”を持っている――ぺんぎん?はそう感じて、ひよこ?と一緒に行動を始めます。
「自分はぺんぎんなのか?」この問いにずっと悩んできたぺんぎん?にとって、ひよこ?との出会いは、自分自身を重ねる鏡のような存在でした。この物語の中で、ぺんぎん?は気づきます。
「はっきりしないことがあっても、迷ってても、仲間と一緒なら前に進める」
最後には、ひよこ?の手を取り、自信を持って歩く姿が描かれます。ぺんぎん?のあの小さな背中が、とても頼もしく見えたシーンでした。
③ ねこ × 桃太郎



次は、ねこが登場する「桃太郎」の世界です。
ねこは、やさしくて、ちょっと臆病。自分から前に出るのが苦手なすみっコ。そんなねこが、なんと“桃太郎”になって、鬼退治に行くことに。
「こんな私が…?」という戸惑いから始まるねこの物語。でも、犬・猿・キジの仲間たちに少しずつ背中を押されて、ねこはリーダーとして一歩ずつ前に進みます。戦うことが得意なわけじゃない。大きな声が出せるわけでもない。
だけど――
「仲間のために何かしたい」その気持ちが、ねこを変えていくんです。
このエピソードの終盤、ねこはとてもやさしい表情で仲間に微笑みかけます。「自分らしいやり方でも、人を導けるんだ」そう気づいたねこの、小さな成長が感じられる場面でした。
④ とんかつ&えびふらいのしっぽ × 赤ずきん



続いては、とんかつとえびふらいのしっぽが登場する「赤ずきん」。
このふたりはいつもセットで、支え合って行動する仲良しペア。
物語では、とんかつが赤ずきんを演じます。森の中を、狼に気をつけながらおばあさんの家を目指す――そんな旅です。
とんかつは「ほぼ脂身」な自分に自信がありません。でも、えびふらいのしっぽがそばにいてくれることで、少しずつ勇気を出します。おばあさんの家へたどり着くまでの道のりは、不安でいっぱい。けれど、とんかつはえびふらいのしっぽと手をつなぎ、迷いながらも進んでいきます。
面白いのが通常オオカミに食べられちゃうんですよね?ところがとんかつは?
ほぼ脂身なわけで、オオカミに食べてもらえないんです。その時にとんかつが出た行動が「食べて!」とお願いすること。とても素直で面白いシーンです。
このエピソードで描かれるのは、
「自信がなくても、誰かと一緒なら進める」ということ。
ふたりの小さな手のつながりに、大きな絆を感じた物語でした。
⑤ とかげ × 人魚姫



最後は、とかげが訪れる「人魚姫」の世界。
とかげは、実は“恐竜”の生き残り。 でもそのことを知られると捕まってしまうかもしれない―― だから、いつも「とかげ」として生きている、秘密を抱えた存在です。
海の中が好きで、静かな場所を好むとかげ。人魚姫の世界では、海と陸の間で揺れ動く存在として登場します。王子に想いを寄せるけれど、自分の声を失ってしまう人魚姫。その葛藤に、とかげはどこか共鳴するんです。
「本当の自分を隠したままでいいのか?」
「それでも、誰かと心を通わせることはできるのか?」
そんな問いに向き合いながら、ひよこ?と出会い、少しずつ心を開いていくとかげ。
最後には、「隠していても、君のままで大丈夫」と言ってくれる仲間がいる。
それを実感したとき、とかげの心にふわっと温かい光が灯ったように感じました。
「ひよこ?」の正体と、クライマックスのやさしさ
自分が誰かわからない“ひよこ?”は、すみっコたちの優しさに触れ、「一緒に帰ろう」と言われたことで、自分の存在を受け入れられるようになります。
ひよこは、居場所を探している。 名前も、自分の姿もはっきりしない。だけど、それでも「ここにいていい」と思わせてくれた仲間がいた。
だから、ひよこ?は最後に“笑う”んです。 はじめて、自分の存在が“受け入れられた”と感じたから。そして、「また、遊びにくるね」と言って、 そっと絵本の世界へ帰っていきます。
「ひよこ?」の正体は明かされていませんが、それがかえって「誰でもない自分を、誰かが受け入れてくれる」ことの象徴になっています。
映画が教えてくれること
ひよこ?の存在は、「自分とは何者か」「ここにいていいのか」という現代を生きる多くの人たちが抱える不安や孤独を象徴しているようにも感じます。
「居場所がない」と感じるとき、
「誰かに名前を呼んでほしい」と願うとき、
「なにかを失っている気がする」とき――
この映画は、そんなわたしたちにこう言ってくれます。
「そのままで、いいよ」
「今のあなたを受け入れる人が、きっといるよ」
絵本の中のひよこ?も、すみっコたちも、そしてわたしたちも―― きっと、誰かと出会い、手を取り合うことで、少しずつ前に進めるのだと思います。
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自分が何者か分からなくてもいい
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居場所を探していい
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秘密を抱えていても、寄り添ってくれる人がいる
この映画は、すみっコたちの成長を通して、「そのままのあなたでいい」というメッセージを伝えてくれます。
『映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は、
可愛らしいキャラクターたちが、ただ冒険をするだけの物語ではありません。
「自分が何者か分からない」
「居場所を探している」
「名前のない寂しさを抱えている」
そんなひよこ?と、 その気持ちにそっと寄り添うすみっコたち。
この映画は、
“小さくて、やさしくて、強い”そんな希望を、 わたしたちに手渡してくれる作品です。
一人で観たときに問いかけたくなること
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「わたしは、どこにいたいんだろう?」
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「ほんとうの“仲間”って、どんな存在なんだろう?」
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「自分が“ここにいていい”と思える場所、あるかな?」
すみっコたちは、自分の殻を破ったり、無理に変わったりはしません。でも、“受け入れられることで、少しだけ変われた”んです。
それは、わたしたち大人にとっても同じ。
「そのままでいいよ」って、言ってもらえる場所――
そんな場所を、自分は誰かに与えられているかな?
そんな場所に、自分はもう出会っていたのかな?
すみっコたちの小さな姿を通して、わたしたちは“自分自身の安心できる居場所”について、考え直したくなるんです。
親子で観た時、子どもと交わせる問いかけ
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「すみっコの中で、一番自分に似てるのは誰だった?」
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「“ひよこ?”って、どんな気持ちだったと思う?」
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「誰かが困ってたとき、あなたはどうすると思う?」
すみっコたちは、何かを“教える”存在ではありません。でも、子どもたちは彼らの姿から、“感じる”ことができる。
そして大人である私たちは、「お子さんの感じたことを、ちゃんと聞いてあげよう」
そう思える、“聞く親になる時間”をもらえる気がします。
☕️一人で観るのも、誰かと観るのも、
どちらも特別な体験になる!
この映画のすごいところは、「誰と観るか」で届く感情が変わるという点です。
◉一人で観るなら
自分の心にダイレクトに届く作品です。
すみっコたちの気持ちが、自分のことのように重なって見えてきます。
「子どもの頃の自分」や、「今の自分」が癒される感覚。
◉子どもと観るなら
すみっコたちの優しさや素直さを通して、 親子の会話が生まれます。
日常では話せなかったこと、「寂しい」や「わからない」といった気持ちを、すみっコたちが代弁してくれる。
😢なぜ、大人が涙してしまうのか?
子ども向けの映画なのに? 大人がボロボロ泣いてしまう――
それには、きっと理由があります。
大人になると、
「本当の自分を出せない」
「誰かに受け入れてもらいたいのに言えない」
そんな気持ちに、蓋をして生きてしまうことがあります。
でも、すみっコたちは、それをそのまま見せてくれる。
「迷っていい」
「弱くていい」
「居場所を探していい」って。
その姿が、かつての自分のようで、今の自分のようで――
だから、泣けてしまうんです。
そしてもう一つ。
この映画では、誰も否定されません。誰も置いていかれない。
失敗しても、変わらなくても、笑われることはない。
そんな世界に出会ったとき――
「こんなふうに生きられたらいいな」って、 心の奥で、静かに涙が流れるんです。
映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は、かわいいキャラクターが繰り広げる冒険の中に、「誰もが持っている不安」や「寂しさ」をやさしく包んでくれる物語です。
「今のわたし、どこにいる?」
「誰と一緒にいたい?」
「ちゃんと、自分のこと、大事にできてる?」
この映画がそっとくれたものは、 正解ではなく、“受け入れる力”。
映画&アニメの視聴方法
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U-NEXT、Amazon Prime Video、FODなどで配信中(※詳細は各サービスでご確認ください)
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絵本、小説、ストーリーブックなどの書籍も多数発売中





新作アニメ『すみっコぐらし ここがおちつくんです』


4月からZIP!内で1分アニメの放送がスタート!
1分アニメ。すみっこがおちつく、すみっこにあつまってくるなかまたち、すみっコたちのこころやすらぐお話を、“週のすみっこ”楽しみましょう!
新キャラクターの「けだま(ピンクのセーター)」も仲間入り!
他にもねこのけだまから生まれたコだったりいろんな「けだま」がいる中で、実は「けだま(ピンクのセーター)」はアナウンサーが着ていたセーターのけだまから生まれたキャラクター。もしかしたら「ZIP!」のスタジオで誰かが着ていたセーターから生まれたかも!?な「ZIP!」イチ押しの新キャラクター!だそうです
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毎週金曜 朝7:30頃
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ナレーション:奈緒さん
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新キャラクター「けだま(ピンクのセーター)」登場!
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TVerでは、4月4日(金)以降 毎週金曜日正午12:00より1週間無料見逃し配信。
YouTubeでは、4月4日(金)以降 毎週金曜日朝9:00より1週間無料見逃し配信
→ 詳細:アニメ公式サイト
最後に
映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は、ただのかわいいアニメではありません。
「誰かに受け入れてもらいたい」 「本当の自分を見せるのが怖い」 そんな想いを抱えるすべての人に向けた、やさしさに満ちた物語です。
今日も、自分らしく、すみっコたちのように――
少しずつ、少しずつ、歩いていけますように🍀






📢次回予告&エンディングメッセージ
次回は4月10日(木)21時~
次回の配信では、すみっコぐらし映画 第2弾「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」についてお話します!
さらに、最新のすみっコぐらしグッズ情報などお届け予定ですので、お楽しみに!