秋になると、街角にふっと漂ってくる金木犀の香り。
その甘くやさしい匂いに包まれると、私はいつも過去の記憶に引き戻されます。

中学生の頃、通学路の途中に大きな金木犀の木がありました。
朝はまだ眠そうに歩いていたのに、その木の下を通ると自然と背筋が伸びて、少し元気になれたのを覚えています。
部活で疲れて帰る夕方も、香りが迎えてくれると「今日も一日頑張ったな」と心がほぐれました。

今、その記憶を思い出しながら金木犀の香りをかぐと、あの頃の自分がそっと「大丈夫だよ」と励ましてくれている気がします。
香りには不思議な力がありますね。
過去と現在をやさしく結びつけて、忘れかけていた想いを呼び覚ましてくれる。
大人になっても、季節の匂いは心をまっすぐに揺さぶります。
金木犀の香りに包まれると、私はいつも「初心を思い出してごらん」と言われているような気がしてなりません。