夜が深まるころ、部屋の灯りを少し落として、お茶を淹れるんです。カップの中に立ちのぼる湯気を見ていると、今日一日のいろんなことが、少しずつ溶けていくような気がするんです。
朝からがんばって働いて、人と話して、気を使って、笑って、考えて。そんなふうに過ごした一日の終わりには、体だけじゃなくて、心にも“おつかれさま”を言ってあげたくなるんです。

私はその時間を、「夜のわたし時間」と呼んでいるんです。
夜は、心がいちばん素直になる
昼間は、たくさんの音や人の言葉に囲まれていますよね。だから、つい自分の気持ちを後回しにしてしまうんです。でも夜になると、世界が少し静かになって、ようやく自分の声が聞こえてくるんですよね。


「今日、あの言葉がちょっと傷ついたな」
「でも、あの人の笑顔はうれしかった」
そんな小さな感情が、ぽつぽつと浮かんでくるんです。
私は、その声を静かに受け止めながら、お茶をひと口ずつ飲むんです。
まるで自分と語り合っているみたいに。
静けさを“整える時間”にする
静けさって、ただの無音じゃないんです。音がない空間の中に、ちゃんと温度やリズムがあるんです。冷蔵庫の小さな音や、窓の外を通りすぎる風の気配。時計の針の音が、心臓の鼓動と重なって、まるで時間そのものが呼吸しているように感じるんです。
その静けさの中に身を置くと、心が少しずつ沈んで、穏やかに整っていくんです。私はこの感覚がとても好きで、一日の終わりには、できるだけこの“静かな時間”をつくるようにしているんです。
夜のルーティンをやさしく整える
私の夜のルーティンは、とても小さなことばかりなんです。
・湯船にゆっくり浸かる
・香りのキャンドルを灯す
・スマホを寝室に持ち込まない
・ノートに今日の気づきを一言だけ書く



どれも5分もかからないことなんですけど、
この“ひとつひとつの小さな動作”が、
心を少しずつ静けさへと導いてくれるんです。
キャンドルの灯りを見ていると、
「今日もよくがんばったね」って自然に言いたくなるんです。
書いたノートを読み返すと、
昨日よりちょっとだけ穏やかな自分に気づくんです。
静けさの中に、安心がある
昔は、静かな時間が苦手だったんです。音がないと、寂しさが押し寄せてくるような気がして。だから、いつもテレビをつけっぱなしにしていたんです。
でも今は違うんです。
静けさの中にこそ、私が安心できる居場所があるって分かったんです。
静けさは、私を責めないんです。何も求めないし、比べない。ただそこにいて、「おかえり」って包み込んでくれるようなやさしさがあるんです。そのやさしさに触れるたびに、ああ、私の中にもこんな穏やかな場所があったんだなって思うんです。
夜のわたし時間がくれるもの
この時間を持つようになって、日中の自分の過ごし方まで変わってきたんです。
焦っていたことに、少しゆとりを持てるようになったし、嫌な出来事があっても、「今夜、静けさの中で整えよう」と思えるようになったんです。
夜のわたし時間は、
“今日を終わらせるための時間”じゃなくて、
“明日に向けて自分をやさしく整える時間”なんです。
静けさに包まれることで、
心の奥からエネルギーがじんわり満ちてくるんです。
その感覚が、明日の私を静かに支えてくれるんです。

夜の静けさは、特別な魔法を持っている。
疲れた心をなだめて、思考をゆるめて、「今日もよく生きたね」って、そっとささやいてくれるんです。私はその静けさを、これからも大切にしていきたいんです。忙しい日も、落ち込む夜も、この“わたし時間”さえあれば、また整えられるから。
静けさに包まれる夜。
それは、明日をやさしく始めるための、
小さな心の準備なんです。