はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」から
私は今、その土地から離れて
東京に住んでいますが、忘れた事はないです
平成7年1月17日 阪神・淡路大震災
まだ2階のベッドに寝ていた私
ドンッ!ガサガサぐわぐわっ
という異音と揺れで起きた
起きた瞬間は目を開けただけで
事態の把握は出来なくて
お腹より少し下あたりにドンッと照明が落ちてきた
しばらく揺れた後、1階から親の声
「地震だ、大丈夫か?」と何度も呼ばれる
声が出なくてふらふらと階段をつかまりながら降り
階段の裏側のスペースに行くように言われて
移動してしゃがんでいた
震える手に自分の手じゃないみたいな感覚
前日は弓道の月例会の試合でした
弓矢を玄関に置いていたのだ
もちろん地震なんて想定外であり
朝練をするためにその日も早起きする予定だった
弓矢は地震の揺れで倒れていた
いつの間にか父が立て掛けてくれていて
父が庭の犬たちを呼び
玄関に座らせて、震える犬たちを名前を呼びながら
「大丈夫、大丈夫」って落ち着かせていたんだけど
犬たちは私のいる階段下のスペースに集まってきた
一緒に身を寄せているので安心したのか
しばらくすると犬たちは落ち着いてきてホッとした
犬たちのぬくもりを感じていると
不思議と手の震えは落ち着いていた
しばらくして地震発生から30分くらいだろうか
家の外に出た
東の空が真っ黒の雲に…
あれは火災からの黒煙だったんだ
ここから地震発生から2.3日の記憶が無いのだ
記憶に残っているあの日の地震発生から
1時間くらいの記憶しか残っていないのだ
それだけ私にとって衝撃的な光景だったから